シンポジウム「聞く・知る・考える ― 阪神・淡路大震災」

平成22年6月11日に大阪市住之江区のインテックス大阪にて「第4回地域防災防犯展」の一環で開催されたシンポジウム「聞く・知る・考える ― 阪神・淡路大震災」について報告します。

これまで、K-TECは講演形式により震災の教訓を伝承する活動を行ってきました。講演形式が、どうしても一方的な情報発信とならざるを得ないのに対し、今回のような双方向の座談会形式のシンポジウムは初めての試みでした。
シンポジウムの進行は、ゲストパネラー4名(京都市 山田さん、大石さん。和歌山市 和田さん、森さん)からの質問に対し、K-TEC会員4名(中山、水口、吉田(信)、片瀬(兼司会))が当時の経験談や失敗談、学んだこと等を順次回答する形で進めました。会場には88名の方々が参加され、客席の方々から戴いた質問も含めて、当日交わされた質疑は合計11題に上りました。ここではその一部をご報告いたします。
★Q:災害発生直後、職員はどう動くべきか?
→ A:神戸市では当時の防災計画にそれぞれの職場の人の有事の際の出勤先が規定されていました。私は震災直後の実家からの第一報の電話で母が生き埋めと知らされ、その後の連絡がつかなくなったままの状態でしたが、やむを得ず出務しました。職員や職員の家族が被災した状態では、「出勤か?救出か?」という非常に難しい選択を迫られます。ただ、自分の家族の安否も確認できないような状態では長丁場の仕事に集中できません。「後方に憂いがない」ことが大切でしょう。
★Q:震災直後から職員は、極限の緊張下で仕事する、心のケアは?
→ A:大切なのはリーダーの采配がぶれないことです。責任感でついつい頑張りすぎてしまう部下に対しても「命令だ、休め!」と言える信念も必要かと思います。
★Q:公務員は異動がある。異動のたびに、その人の蓄積は飛ぶ。伝承をどうするのか?
→ A:震災以降、神戸市の職員も3分の1が入れ替わっており、当時の教訓の伝承はもっか共通の課題です。今は職場ごとに普段から事故対応の研修をしています。防災や減災については公務員だけでは手に負えません。市民、民間と協働でスキルアップを目指して勉強しています。また、我々自身も毎月開催しているK-TECの定例会に参加し会の内部で情報共有を図っています。
紙面の都合でここでは多くはご紹介できませんが、当日の模様は別途まとめて冊子として整理する作業を行っています。
公務員も、民間企業の方々も学術関係者の方々もひとりの市民であることには変わりありません。皆が「自助」「共助」の気持ちを持って「減災」へ取り組んでゆくことの大切さをほんの少しでもお伝えすることができれば、そう願いながらシンポを締めくくりました。(文責:K)

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