K-TECではこれまで,イフシリーズとして,もし今,大きな災害が起こった時,自分たちは適切な対応が取れるのかを検証するため,阪神・淡路大震災当時の状況を再度振り返るという作業をしてきました.(これまでのイフシリーズのテーマリストはここから)
令和元年の7月例会は,K-TECの片瀬さんから,阪神・淡路大震災当時,中央区で避難所運営に関わった自らの体験(1995年4月~1997年3月 中央区副区長)などを元に,いろいろお話を伺いました.
避難所の開設状況や指定外避難所の開設, 避難所の運営と課題, 食糧の給付,指定避難所外対応,避難所での対応事例など,避難所で起こったさまざまなことが話されましたが,私としては,特に「避難者がみんな避難所に来ないといけない,と考えるのはどうか」,という問題提起が非常に印象に残りました.
たしかに,阪神・淡路大震災の際には,避難所に行かずに,自宅で「避難」生活をした方々も大勢いたと考えられますが,各避難者が広範にちらばっている場合は,支援の効率は,相当落ちると考えられ,食料や支援物資の配給,情報の周知などで,行政には限界があり,それを補う地域住民の努力が求められることになるでしょう.一方で,巨大な災害が発生した時に,超混雑する避難所で,さまざまな問題が発生するであろうことも,十分,予想できます.
南海トラフ地震が来た時に,避難所があふれかえってしまわないような,被災地の自律的な避難のあり方について,きっちりと議論しておく必要があると感じました.
(文責:太田敏一)