東日本大震災で被災した自治体の職員に阪神・淡路大震災の経験を語り伝えようと「神戸防災技術者の会(略称:K‐TEC)」は「復興まちづくりセミナーin神戸」を開催しました。 セミナーは、(公財)JR西日本あんしん社会財団の助成と神戸市の後援を得て、今年9月7日~11日の5日間、岩手県宮古市、山田町、大槌町、釜石市、宮城県気仙沼市、南三陸町、石巻市、東松島市、仙台市、山元町の10自治体の復興担当職員13人を神戸に招き開催しました。 【参加者の要望を反映した盛り沢山の内容】 カリキュラムは神戸の体験を伝えるのみでなく、事前に提出された参加自治体が抱える課題や要望を中心とする手作りのセミナーを目指しました。 その内容は、K-TECから、神戸の復興の過程やその間の問題点についての説明と18年目の現在も残る課題を説明し、意見交換しました。参加者からは、各自治体の被災状況と復興の課題の報告を受け、参加者間でお互いの自治体での対応内容が披露されるとともに、K-TECのメンバーとも意見交換しました。
また、まちづくり協議会の役員やコンサルタントとの意見交換と現地視察、さらに産業の復興状況、災害公営住宅では高齢化が進む入居者の見守りの状況、高台造成地や高盛土の実績など今後被災地で展開する事業の視察も実施し、連日盛り沢山のタイトなスケジュールになりました。
【セミナーの手ごたえは】
最終日、参加者にセミナーで最も印象に残ったことを聞いたところ、「まちづくり協議会の役員さんの『やり残したことはない』という言葉」が挙がり、その言葉を大事にしてほしいと思うとともに、セミナーの開催意義があったと感じました。 神戸と東日本の被災地は、被害の内容や復興のための事業手法、住民と自治体との関係、行政実績など状況は大きく異なりますが、今後被災地で進んでいく復興の過程と、想定される課題などを解きほぐすヒントを示唆するセミナーとなり、また、参加者間でお互いに情報交換し合うネットワークが形成されるなど、自治体職員自身のスキルアップに寄与できたのではないかと思っています。
K-TECでは来年度も、その時点での復興の課題を共有する内容のセミナーを開催したいと考えています。