海南市においては、南海トラフに起因する巨大地震の発生予測や被害想定が一昨年8月に発表されて以後、これまでの形式的に作成した地域防災計画だけでは対応できないということから、京都大学防災研究所の牧 紀男教授などの指導の下、職員全員が参加して実効性のある地域防災計画を策定しようと庁内に「災害対策検討部会」を構成して、 講演会や課題共有のためのワークショップ、図上訓練や実働訓練など平成25年度から2か年計画で取り組まれています。 計画策定にあたり、平成21年にK-TECの会員4名が2日間にわたり職員全員に阪神・淡路大震災の対応を講演した経緯もあったことから、再度K-TECに協力依頼があり、担当者と改定作業の進め方について数度の協議をしてきました。 改定作業の一環として、多くの学識経験者の意見を取り入れ、被災時設置される災害対策本部に所属する災害救助部や都市整備部、水道部など7つの部に加えて、それらを有機的に繋ぐ避難所管理や生活再建など4つのプロジェクトチームが作られ、各部ごとに具体的な対応を学び、計画に反映する勉強会が平成26年5~6月に開催されました。
このうち、災害救助部、都市整備部、水道部、避難所運営・生活再建プロジェクトの5回の部会にK-TECメンバーが参加しました。 部会は大学の先生など学識経験者の法的な位置づけの講演に続き続き、K-TECメンバーが阪神・淡路大震災時の体験に基づく実態を踏まえ、出来た事・出来なかったことに加え備えとして考えていただきたい課題など、そして東日本大震災の被災地支援で得た教訓を皆さんに継承・発信しました。 その後、各部の部長さんから担当者まで幅広い層の職員によるワークショップがなされ、 災害時の状況を共有されるとともに、私たちへの質問がありました。学識経験者と実務者側からの回答に今後大切なことを少しでもご理解いただけたと思っています。
ここ数十年大災害に被災していない海南市とお聞きしました中で、危機管理意識を職員全員が持とうとするこのような取り組みは全国でも事例は無いと思いますし、立場を超えてフランクに課題を議論される参加者の皆さんの 熱意に私たちは多少なりともお手伝いでき、南海地震など自然災害による被害の事前防止と、万一被災した時、市民を守る地域防災計画が作成されると信じる災害対策部会でした。 (文責 N.K)