茨城県下妻市立千代川中学校 修学旅行生と震災遺構まち街歩き(平成28年5月8日)

■はじめに

K-TECの伝承活動として修学旅行生を受け入れる事は、今回で3回目となりました。今回の特徴は、約6名ずつの班に分かれて震災遺構のまち歩きをすることでした。3クラス98名のため、16ものコースとなり、それぞれが知識と知恵を動員してのまち歩きとなりました。

 

■まちづくり会館での講話

片瀬氏より「直下型と海溝型の違いなどの地震の仕組み」「阪神・淡路大震災の概要」「被災直後の様子、避難所での生活」などを当時の中学生の行動もまじえながら話をさせていただきました。

東日本大震災の時は小学生だった生徒達。昨年夏の鬼怒川の氾濫(常総市)も、同じ鬼怒川のそばでしたが幸いにしてほとんど被害はなかった為か、地震や災害に対する実感があまりないようでした。

阪神・淡路大震災での家屋の倒壊や、火事が起こり火の手がやまなかった事に驚いていました。

災害に対する備えや、災害時にどう対応するかを、生徒の皆さんが考えるきっかけになることを期待しています。

 

■班別のまち歩き

16の班に分かれてのまち歩きです。

 

東のコースの例

【新在家南震災復興住宅⇒酒蔵のみち⇒旧西国浜街道⇒都賀川河川敷遊歩道】

灘の生一本として知られた歴史ある酒蔵の街並みを残そうと、景観に配慮したデザインの災害公営住宅や酒蔵の道を見た後、都賀川では、集中豪雨時の急激な増水の危険性ついて説明。生徒達も普段から川の近くで生活している為か、都賀川に興味深々でした。

 

西のコースの例

【鉄人28号モニュメント⇒新長田北側のシューズプラザ、せせらぎ⇒水笠公園】

復興のシンボルである鉄人28号。住民と市が協議して復興のまちを描いた「まちづくり協議会」の仕組み。その協議会で決まったせせらぎのある街並み。地場産業であるケミカルシューズの復興状況。防災拠点の水笠公園などを散策しながら説明。

鉄人28号の高さ18mの大きさに、生徒たちのテンションが上がったようでした。

 

中央のコースの例

【元町商店街⇒震災メモリアルパーク⇒みなとの森公園⇒磯上公園】

復興への願いが込められた元町商店街のメッセージレンガ。壊れた港の一部がそのまま保存されている震災メモリアルパーク。市民と協働で計画し、作り、実際に今も運営されているみなとの森公園。被災当時瓦礫が積まれた磯上公園などを説明。

普段見ない海や港が珍しいようで、歓声があがっていました。

 

■最終地点。東遊園地。

各コースに分かれたまち歩きの最終地点東遊園地。

1.17希望の灯り、慰霊と復興のモニュメントについて説明。

犠牲者への慰霊と遺族への励ましの為に作られた慰霊と復興のモニュメントでは、犠牲者の名前を刻んだプレートの数の多さに圧倒され「ここ怖い。早く出よう」とつぶやいた生徒がいました。

 

■受け入れを終えて

直接災害にあっていない、また一般的な避難訓練などの経験しかない生徒の多くは、阪神・淡路大震災を知りませんし、関心が薄いようでした。

午後からのちょっと眠たい時間帯に、実感のわかない生徒達に『どうやって興味を持ってもらうのか。何か一つ印象に残ることを伝えられないか』ということが今回の最大の課題だった気がします。

案内者の力量の差が現れてしまった点でもありますが、より分かりやすく、より興味を持っていただけるように、各々精進していきたいと思います。

 

■生徒達からのお礼状

学校に戻ってから、皆で振り返り学習をされたようです。

「阪神・淡路大震災がどれほど大きな地震だったか、また犠牲者が多かったことが分かった。」「自然災害の恐ろしさが伝わってきた。」さらには、「学んだことを今後の生活に生かしたい。」 と書かれた手紙が学校から届きました。

生徒の皆さん、写真とお手紙をありがとう。そしてまた神戸に来てください。

 

(文責 H.S.)

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