東日本大震災が発生して8カ月になろうとする今、被災市町では避難所が解消され、被災者の皆さんは厳しい冬を前にして仮設住宅での生活を余儀無くされています。
そして,災害を乗り越えて恒常的な生活の再建のための復興をどのようにすすめるかの議論が被災地の各地で取り組まれているところです。
震災発生直後から神戸市の支援メンバーとして,K-TECからも多くの会員が被災地に派遣される中、東日本大震災に対してK-TECはどのような支援活動をしているか報告します。
神戸市では、震災発生の二日後にK-TEC会員でもある危機管理室長を仙台市に派遣し支援のあり方についての下打ち合わせに始まり、1週間後から避難所運営をはじめとして消防援助隊、原発給水派遣、水道応急配水、仮設住宅、インフラ関係施設の被災状況調査、罹災証明書発行や給付金配布手続きなど震災関連業務の支援要員として,約2,000名を派遣しています。
K-TECでは発生直後に阪神・淡路大震災の経験とその後の毎月の定例会で培ってきた災害対応技能をどのようにして支援に活かすことが出来るか議論を始めましたが、多くが現役の職員であること、遠隔地であることから押しかけ的なK-TEC独自での活動は難しいと考え、当面はそれぞれの会員が有する阪神・淡路大震災時の対応ノウハウの一覧表を作成し、神戸市からの指示を待って行動することや後方支援体制を構築することを申し合わせました。
それと並行して仙台市の復興計画策定の支援要請を受け,当時復興計画を担当したK-TEC会員2名が派遣されました。彼らは復興計画のみに止まらず当面の被災者対応、仮設住宅建設、復旧・復興財源にいたるまで、担当者からの質問にK-TECの後方支援体制を活用して対応するとともに、本格的な復興計画のアドバイザーとして活動をしています。
また、名取市長からも支援の要請があり,当面の被災者支援の仕組みづくりや,復興まちづくりの計画策定に参画しており、そのメンバーにも2名のK-TEC会員が中心的な役割を果たしています。
また,水道や下水道、そして建築部門にも各々の分野において支援のネットワークが形成され,それに基づき職員が長期派遣されていますが、そのメンバーとしてK-TEC会員が選ばれ派遣されています。
また,会員個々の研究活動においても,桜井は日本災害情報学会において,名取市支援活動の中で得られた知見を元に,教訓を発表しており(新聞記事)。また,太田は,東北大学の報告会において,神戸市の復興計画策定過程を元に大災害後の復興計画策定のポイントについての発表を行ってきました。(東北大学報告)
また,中山は阪神・淡路大震災の後,すすめられてきた復興都市計画事業について,計画策定から実施までの二段階の都市計画手法に焦点を当てた著作を発刊し、東日本大震災の復興の方向付けの参考になることを願っています。(新聞記事)
このように,K-TEC会員は,東日本大震災において,阪神・淡路大震災の経験を少しでも役立ててもらえるようにとの思いを持って,種々の支援活動に積極的に取り組んでおり,毎月の定例会で派遣職員より現状の報告を受けながら、今求められている方向の把握にも努めており、今後も被災市町からの要請や問い合わせに対応できる体制で臨みます。
また、発生確率の非常に高い南海・東南海地震に備えて対策に取り組む自治体や市民団体、小中学校生などの皆さんが犠牲者とならないように東日本大震災や阪神・淡路大震災の体験の語り部活動をこれまで以上に進めていきます。
(文責 N.K)(メール連絡先)