平成24年9月8日(土)~10日(月)の3日間、K-TECの会員等19名で岩手県大槌町から宮城県名取市までの現地視察、自治体職員や地域団体の役員さんの激励と意見交換をして来ました。被災地で得た感想の一端を報告します。
【自治体支援】
東日本大震災で被災した自治体は多くの職員を失いました。
行財政改革で職員数を減員したところなので関係自治体の職員不足は深刻。岩手県大槌町が象徴的で、復興まちづくり担当の都市整備課は課員24名中課長以下20名が全国各地から派遣された“寄り合い所帯”となっています(神戸市も2名派遣)。
大槌町だけでなく、派遣された職員は皆さん、地域にとけ込み、使命感を持って業務に取り組んでいました。
復興まで息の長い支援を継続するため、進捗に応じて必要な職種の人員が適宜補強されることが望まれます。事業における住民との信頼関係の重要さを思うと長期派遣も必要になるでしょうし、事業経験を持つOB職員の活用がもっと考えられてよいでしょう。
【復興まちづくり】
復興まちづくり計画は順次合意が進みつつありますが、中には高台移転か現地を嵩上げして住み続けるかで意見が分かれ、事業の遅れが危惧される地区もあります。工事により目に見える形で進捗の姿を示せない今が最も辛い時期で、踏ん張りどころでもあります。丁寧かつ柔軟な対応が求められています。
「今回の津波が届かなかった近くの高台に集団移転し防潮堤は嵩上げせずに海の見えるまちづくりを」という計画で住民の合意形成を終えた会長の話を聞きました。リーダーシップのある会長は自らの家族を亡くした悲しみを乗り越えて頑張っておられます。この地区の復興は早く進むのでは、と思いました。
大船渡市吉浜地区は、明治・昭和など過去の津波の教訓から、すぐ傍の裏山に集団移転し、屋敷跡の土地は田畑に活用しており、今回の津波による人的被害は1名のみでした。日常生活も考えた高台移転の先駆的事例であり、もっと広く紹介されて良いのではないでしょうか。
【震災の記憶の伝承】
陸前高田市の「希望の灯り」も見てきました。神戸の「希望の灯り」を分灯したもので、我々が神戸から来たことが分かり、担当者に大変感激されました。
陸前高田市の「奇跡の一本松」だけでなく、震災の記憶を後世に繋ぐために、シンボルとなる建物や工作物・記念碑を残したいという動きが各地でありました。住民と行政の協働による計画づくりや、将来の維持・管理の努力を期待しています。
K―TECとしては、今後とも神戸市からの派遣職員のみならず、今回意見交換をした被災自治体等の後方支援を続けていく必要があると、あらためて感じた3日間でした。(文責MK)